iFデザインアワードの持続可能性:デザインによるインパクト
2024年度、iF初のライフタイム・アチーブメント・アワードを受賞したデザイン界の巨匠、Dieter Rams氏は、「デザイナーには、世界をより良い場所にする責任がある」と語りました。この言葉はまさに、iFか掲げる中核的な価値観――サステナビリティ――を反映しています。そして2025年度には、同賞を建築家のNorman Foster卿が受賞。「デザインはQOLの本質である」と強く訴えました。
この深い信念を徹底するために、iFはサステナビリティをコア・プリンシパルのひとつとして強化し、社会にポジティブなインパクトをもたらすデザインナー、企業、団体を称えていきます。具体的には、2025年からは審査基準の20%をサステナビリティが占めることとなり、審査過程にもこの視点をとりるべく、サステナビリティ・ワーキンググループを設置しました。また、iFデザインの米国オフィスマネージング・ディレクターであるLisa Gralnek氏が、サステナビリティ&インパクト部門のグローバル責任者に任命され、国際的な視点から取り組みをリードしています。
ウーヴェ・クレメリング氏、iF International Forum Design GmbH CEO
「私たちの目標は、iF DESIGN AWARDの中核となる評価基準に、環境保全と社会的公正の原則を的確に組み込むことで、真に環境的・社会的な価値を持つプロジェクトを支援することです。」
審査基準「サステナビリティ」 について
iF DESIGN AWARD 2025から、「サステイナビリティ(Sustainability)」が全体的な評価プロセスにおける重要な要素となります。「サステイナビリティ(Sustainability)」は、従来の評価基準である「アイデア(Idea)」、「造形(Form)」、「機能(Function)」、「差別化(Differenciation)」と並んで、9分野・82カテゴリーすべてに共通する主要な審査基準となります。また、これまでの「インパクト」に代えて「サステナビリティ」を導入することで、社会的・環境的な側面に重点を置き、デザインにおける卓越性と、その影響に対するiFの強いコミットメントを明確にしています。
iF DESIGN AWARD 2025にエントリーする参加者は、分野やカテゴリーごとの特徴に応じた3つの質問に多肢選択式で回答する必要があります。最も大きな分野である「プロダクト」および「建築」では、以下のような質問が用意されています。
このプロダクトのデザインには、どのような持続可能性に配慮した戦略が取り入れられていますか?
包括性・アクセシビリティ・手頃さをすべてのユーザーに提供するために、どのようなデザインの工夫を凝らしましたか?
より持続可能なユーザー行動を促すために、どのような設計上の工夫やアイデアをデザインに反映させましたか?
(建築分野)日常的なエネルギー消費や資源使用を抑えるために、どのような設計上の配慮を行いましたか?
これは、iF Designに新設されたサステナビリティワーキンググループ(SWG)が開発し、サステナビリティに関する重要なテーマの優先順位付けや具体的な審査質問の策定に貢献しています。また、iF DESIGN AWARD 2025のオンライン予備審査から2025年2月にハンブルクで開催される最終審査までの2段階の審査プロセスにおいても、SWGは審査員の判断をサポートしながら、積極的かつ協議的なフィードバックを提供しています。
サステナビリティ・ワーキンググループ
Diana Verdo Nieto
Positive LuxuryおよびClownfishの創設者兼元CEO
「イノベーション、サステナビリティ、創造性、そして社会にインパクトを与えるデザインがより良い未来を形づくる――そんなiF DESIGN AWARDの審査に携わるエキスパートの一員になれたことを誇りに思います!」
Joe Brown
one5cの創設者、出版兼編集担当&Popular Sccience誌の元チーフ編集長:
「持続可能なデザインを推進することは、消費者がより持続可能な選択をすることができるようにつながります。消費者がサステナブルな選択肢を多く持てば持つほど、私たち全体の未来もより良いものになるでしょう。」
Kenny Arnold
米国エレン・マッカーサー財団のデザインアクティベーションチーム サービスデザイン担当 シニア・マネージャー:
「デザインがもたらす影響は、形や機能にとどまりません。無駄を減らし、素材を循環させ、自然を再生するなど、デザインはあらゆる創造の中で重要な役割を担っています。だからこそ、今日、『優れたデザイン』の基準を引き上げることが不可欠であり、エレン・マッカーサー財団はその取り組みを喜んでサポートします。」
Michael Lanz
Vagabund Motoパートナー、iF DESIGN AWARD審査委員長、designaffairs元マネージング・パートナー、アクセンチュアOB:
「業界におけるサステナビリティの推進という今日最も重要な使命のひとつに取り組むにあたり、優秀な専門家チームと共に働けることを誇りに思います。」
Richard Trigg
タンジェント社のデザインパートナー:
「私たちの目指すところは、形や機能だけを追求する従来のデザインの枠を超え、業界をリードしていくことです。例え小さな意図的な工夫であっても、二酸化炭素の排出削減につながるのです。」
Steve Alagna
デル・テクノロジーズ ワールドワイド・パッケージング・エンジニアリング部門 サステナビリティ・パッケージング シニアエンジニア
「iF Design SWGの一員として、自分の専門知識を提供し、志を同じくする人々と協力することで、優れたデザインとサステナビリティに対する意識と実践を一貫した視点で推進し、最終的に環境への影響を削減できることを、心から嬉しく、誇りに思います。」
Teun Van Wetten
アクセンチュア・インダストリアル・デザインのデザイン・ディレクター兼サステナビリティ担当責任者
「iF Designのサステナビリティへの取り組みを支援できることを、心から光栄に思います。正しく行われたデザインには、世の中をより良くする力があると信じています。」
Lisa San Filippo
ターナー・エンジニアリング・グループ(ターナー建設)のシニアデザインスペシャリスト、建築・サステナビリティ担当
「デザインには、より健康的で公平な未来を形づくる力があります。気候インテリジェンス、素材の透明性、社会的インパクトなど、私たちの時代が直面する課題に対し、デザインは積極的に応答していかなければなりません。だからこそ、iF DESIGN AWARDサステナビリティ・ワーキンググループを通じて、卓越性の定義を進化させる取り組みに貢献できることを誇りに思っています。 」
Lisa Gralnek、iF Design 米国支社のマネージング・ディレクター兼サステナビリティ&インパクト部門グローバルヘッド
Lisaは、15年以上様々な地域や業界で社会的・環境的テーマに携わってきた経験があります。これらの経験で得られた専門的な知見は、iF Designにおける変革の推進に大きく貢献しており、iF Designが掲げる「新しく、より良いデザインの未来」の実現を力強く後押ししています。 「私たちはもはや、サステナブル・デザインを独立したカテゴリーとして切り分け、個別に評価する時代にはもう生きていません。製品、パッケージ、プラットフォーム、空間、政策――どの領域であれ、優れたデザインは本質的にサステナブルであるべきです。 世界最大かつ最も権威あるデザイン賞のひとつである私たちがこの一歩を踏み出さなければ、誰が踏み出すのでしょう?」